
写真中訳:「母よ、心配しないで。私はファシストではなくて、ゲイなのです。」

ザン法案(DDL Zan)の現状
ザン法案とはヘイトスピーチに関する法的枠組みにLGBTQ+コミュニティ・女性・障がい者に対する差別を禁止し処罰を行う上で、法的保護を与えようと提案したものである。しかしバチカンはイタリア上院に文書を送り、ザン法案の内容が曖昧であるとした上で、議員に修正を求めた。法案は1984年にイタリアで締結された協定により保護されているカトリック教会の自由を侵害する可能性があると伝えた。その後、法案がイタリア上院に提出されて否決された時には、バチカンの介入が原因ではないかと懸念された。マリオ・ドラギ首相は、「ここはコンフェッショナルな国家ではないので、議会は自由に議論できる」と述べている。
ザン法案の上院からの却下を受けて、イタリアの40以上の街でデモが行われた。デモには幅広い年代が参加した。トリノとパレルモで行われたデモには市長も参加した。カフォスカリ大学があるヴェネツィアでもデモがあり、何百人もの学生たちが集まったほか、人権擁護団体の代表者なども参加した。多くの町では、夜に有名な建物やシンボルなどがレインボーカラーでライトアップされた。これらのデモを受けて、ザン法案が今後また見直されることが願われている。
ザン法案反対の背景
ザン法案やマイノリティの対策に反対しがちな意見を変えるべきかを考えよう。
これは大勢の若者にとって難しい出来事である。ザン法案はカトリックと右翼の支持者の間で認められないものであることが原因である。しかし、アンケート調査によるとイタリア人の63%がザン法案に賛成である。その中でも、キリスト教の人々は約20%であった。
結局のところ、ザン法案の却下された理由は思想的な葛藤ではなく、右党の支持者を確保することが背景にあった。LGBTQ+の権利は、政治的な理由で無視されてしまった。
ザン法案に対する反応
この法案についてイタリア人はどう考えているのだろうか?
イタリア人の多くは法案に肯定的であるが反対する意見もある。その少数の人々と右派政党のせいで、この法案は結局否決されてしまった。つまり、古い考えを持つ一部の人たちのせいでLGBTQ+や障がい者、女性の権利が再び阻害されてしまったのだ。
日本のLGBT法案
日本のLGBT法案は差別を禁止するものではなく、単純にLGBTQ+を取り囲む周囲の人間に理解を促すものである。今日本の与党である自民党はこの法案を通すことをマニフェストで掲げたが、国会に法案を提出しなかった。現在、日本のLGBTQ+に対する理解は年々高まっており、自治体などによる条例の制定や独自の取り組みはあるものの、LGBTQ+に関しての法律は未制定である。「LGBT差別解消法」によりアウティングや企業の採用・解雇等の差別禁止勧告に対しての罰則はあるが、LGBTQ+への理解度に対しての法は整備されていない。こういった法案を巡り「(LGBTQ+は)種の保存に背く」などと言った問題発言も出た。こういった法の整備がされなければ、当事者たちの中で新たな被害者が後を絶たなくなるだろう。具体的な行動が成されないことによって、傷つく人たちを少しでも減らし、その傷を癒やすためにも一刻も早い法整備が求められている。
参考文献・サイト
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/vismoglie/2021/10/post-30.php
https://lgbtrikai.net/zoshinho/index.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/111299
https://lgbtetc.jp/
https://www.nhk.or.jp/d-navi/link/lgbt/
https://www.sankei.com/article/20210601-6GUU5JSXW5OGDAV2AI7GKMBC6E/
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0408-010364.html
https://www.repubblica.it/politica/2021/07/20/news/ddl_zan_sondaggio_ilvo_diamanti-311046892/
単語リスト
日本語 | 英語 |
人権擁護団体(じんけんようごだんたい) | Human Rights Association |
見直す(みなおす) | to re-examine |
曖昧(あいまい) | vague |
議員(ぎいん) | members of the Senate |
保護する(ほごする) | to safeguard |
侵害する(しんがいする) | to violate |
懸念する(けねんする) | to worry |
右翼(うよく) | right wing |
支持者(しじしゃ) | supporter |
調査(ちょうさ) | questionnaire |
賛成(さんせい) | approval |
思想的(しそうてき) | ideological |
葛藤(かっとう) | conflict |
右党(うとう) | right wing parties |
阻害(そがい) | obstruction |
肯定的(こうていてき) | affirmative |
否決(ひけつ) | rejection |
LGBT差別解消法(LGBTさべつかいしょうほう) | LGBT Discrimination Elimination Act |
差別禁止勧告(さべつきんしかんこく) | anti-discrimination advisory |
解雇(かいこ) | dismissal |
21 11月 2021 at 18:32
グループ4の皆さん、記事を共有してくれてありがとうございました。マイノリティの権利の話は大事ですね。私は考えたのは、どのように現状を変えるかということです。私たちだけの声は足りないみたいです。この気づいたことは、実家に戻る時のことでした。その時は、ddlザンについて友だちと話していましたが、友だちはその法案の断りの問題が見えなかったのです。その問題、この権利の話を認めることができないというのは、特権があるという意味ではないでしょうか。それを説明してみたら、わかりましたが、法学を勉強している友人は理解できなかったのです。その法案は法律のフォーマルなルールに従わないで書いたと言われました。その時には、「専門家」の視点に対して、どのように答えたらいいですか。私は、その時に黙ってしまいました。でも、当時に、がっかりしてしまいました。友人は理解してくれなかったからです。でも、話し合えば話し合うほど相互理解まで到着できるかなと思いますね。みたいな経験がありましたか。
22 11月 2021 at 11:18
この記事は、非常に話題性のある問題に触れています。イタリア人の大半は、ザンの法案を承認することに賛成でした。
残念ながら、我々の親の世代が終身雇用で選んだ代議士が上院で国民を代表しています。
まだまだ数は少ないですが、違いを生み出すには十分です。
また、イタリアはこの種の問題について曖昧なことが多い。表面的には、革新や進歩に対する寛容さを示していますが、紙面上では、しばしば矛盾した態度をとります。
ddl zanは、しばしば他者の「表現の自由の侵害」と表現され、意見を封じ込めることを強要されます。
しかし、イタリアでも日本でも、自分の「自由」は他人の「自由」が始まったときに終わること、自分の「権利」を行使することは他人の「権利」を奪うことではないことに気付いていない人が多い。
記事を書いてくれてありがとう!!誰かがこのことについて話さなければならなかった。
22 11月 2021 at 19:37
この面白い記事を書いてくれてありがとうございます。
DDL Zan について考えると、法律が承認されていないのはばかげているので、私は怒っています。 平等に基づくこのような重要な法律が成立しなかったのはどうしてだろうか。問題は主に私たち市民に関係しているので、私の意見では、国民が投票する国民投票があったはずです。 国民投票が行われていれば、DDL Zanは承認されたはずです。 代わりに、彼らは古くて宗教的な精神を代表する政治家を選びました。 将来、状況が変わることを願っていますが、希望を失ってしまいました。
23 11月 2021 at 11:33
この大事なテーマについて記事を書いてくれてありがとうございます。
イタリアには、LGBT +の権利を見なしていない偏見のある人々がまだいると私は怒っています。
近い将来、状況がようやく変わることを願っています。日本のLGBTの人たちの状況を知りませんでした。 より良い未来のために人権を信じる人々は、政府に抗議し、行動を起こすよう圧力をかけるべきだと思います。
23 11月 2021 at 16:32
記事を読んでいただきありがとうございます。
私は、政令が否決される少し前に、ヴェネツィアでザン氏の話を聞きに行きました。
誰にも害を与えない権利を優先する提案を、イタリア人が拒否するのは不条理だと思います。
私は、このデモが何らかの目的を果たすことを願っています。
24 11月 2021 at 12:55
この大切なテーマについて書いてくれて本当にありがとうございました。最近、イタリアにはLGBTQ+の状況は本当に大変になったと思います。DDL Zanは否決されたから、憎悪犯罪は政府に許された気がすると思います。私は本当に心配していますね。将来、またDDL Zanのような法律があったら、否決されることが本当に欲しいです。日本でのLGBTQ+の状況が知らなかったので、説明してくれて本当にありがとうございました!