「見る海洋・河川・故障などで、漁業および水産増養殖業の対象となる魚介類や藻類などの資源」と辞書は書いてあります。海の環境と私たちの食を守る上で、今、水産資源の「持続可能な利用」が大きなテーマになっています。持続性を無視して魚を獲れば、魚が減って、漁業が成り立たなくなるのは時間の問題だ。そして今、世界の海では、特にこの「獲りすぎ」が大きな問題になっています。世界の水産物の漁獲量は、この半世紀の間に、飛躍的に増えてきました。水産資源を持続的に利用するには、十分な産卵親魚を維持するための漁獲規制が必要になる。

世界的に起きている、水産資源の危機問題

これを解決するためには、漁業の方法をふくめた、資源管理の徹底を行なう必要があります。

  • 通常、世界でも、日本でも、科学者が国や国際会議の場などで、一定期間内に漁獲してよいその総量(ABClimit)を勧告します。この勧告は、科学者が、資源の現状や回復力を考え、資源を維持する上で許容できる、と判断して提言するものです。またTACが設定されていない魚種(非TAC魚種)の場合、今もなお約半数がABClimitを上回る量で漁獲されており、中にはABClimitの3倍以上に達する魚種もあります。
  • したがって、この問題に加えて、IUU漁業の問題もあります。IUU(アイ・ユー・ユー)漁業とは、違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)な漁業のことを言います。IUU漁業は、毎年、1,100~2,600万トンの水産資源を水揚げしていると推定され、その金銭的価値(損失額)は、毎年100~235億USドルと推計されています。本来獲る必要がなく、商業的にも価値の無い魚なども、混獲されたものはただ捨てられてしまうケースが数多くあります。また、サメのように、漁獲した後、高く売れるヒレの部分(フカヒレ)のみを切り取って、身を海に捨ててしまう例もあります。
  • 混獲の犠牲は危険な廃棄物や罠によって海で誤って殺された動物であると言われています。毎年、混獲の犠牲になっている海の生きものは、膨大な数になると見られており、海の環境を悪化させる大きな要因としても、問題視されています。
  • 終漁になるまでにより多くの魚を獲るために早獲り競争が激化して、漁業の生産性の低下を招く。この問題を解決するには、漁獲枠を個別配分しておくIQ(Individual Quota)方式が有効である。漁獲枠を個別の漁業者にあらかじめ配分しておくことで、早獲り競争を抑制するのだ。日本が重い腰を上げて、ニュージーランド、アイスランド、ノルウェーなど先進漁業国が漁業を成長産業にした仕組みを取り入れようとしているのだ。さらに、現在は8魚種にしか設定されていない漁獲枠を拡大し、IQ方式を国主導で全面的に導入することになっている。