日本のホームレスの現状
2019年に実施された、日本におけるホームレスの実態に関する全国調査によると、確認されたホームレス数は、目視による概数で4,555人(男性4,253人、女性171人、不明131人)だった。東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の約4分の3を占めており、都会にホームレスが集中していると考察できる。また、ホームレスを確認できた場所の割合は、都市公園が22.7%、河川が30.3%、道路が18.7%、駅舎が5.2%、その他施設が23.1%となっている。
日本では、女性のホームレス数が圧倒的に少ないという特徴がある。また、これらのデータは新型コロナウイルスの流行前であることから、2020年以降のデータが算出されれば、また違った考察が成り立つ可能性がある。
日本では、生活困窮者に対し必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を促すこと目的とした生活保護制度が存在する。しかし、「家族や周囲に知られたくない」という理由で、国民の権利でもある生活保護への申請を行わない困窮者も少なくなく、「最後の砦」でもある生活保護には、大きな課題が残っている。

ホームレスの男女比とその要因
- ホームレスの男性の問題
世界中のホームレスは河川や公園、駅舎を起居(ききょ)として生活をしており、日本のホームレスの男女比は厚生労働省(こうせいろうどうしょう)の全国調査によると男性が大多数を占めている。大多数を占めている男性ホームレスの問題について話していきたい。
男性ホームレスが路上生活を余儀なくされている理由としては失業、人間関係の悪化(あっか)があります。男性ホームレスはホームレスの中でも大多数を占めているがゆえに、少数派(しょうすうは)で社会的にも立場が弱い女性ホームレスが問題や話題として挙がることはあるが、数の多い男性ホームレスにも存在する略奪(りゃくだつ)や暴行(ぼうこう)が問題視されることはあまり多くない。そのため最近発覚したホームレス男性が殺害(さつがい)され遺体を利用された事件を認知していた人は多くないのではないだろうか。男性ホームレスにもこのような暴行が横行される可能性があることを頭に置き、暴行や略奪は女性ホームレスだけでなくホームレス全体の問題であると重要視するべきではないのだろうか?
- ホームレスの女性の問題
ホームレスになることは、すでに困難な状態。しかし、いくつかのカテゴリーの人々にとっては、そのリスクはさらに大きくなる。今日は特に、ホームレスの女性の状況について話す。
女性が路上生活を余儀なくされる主な理由のひとつは、DV(ドメスティック・バイオレンス)であることがよくある。一旦路上に出ると、女性にとってのリスクは多く、特に子供を持つ人にとっては危険。まず、レイプですが、ホームレスシェルターも安全な場所ではないことが多いです。また、月経時の衛生状態が悪いため、感染症のリスクも大きいだ。最後に、女性は売春や略奪などの他の犯罪にも巻き込まれる可能性がある。
排除建築 やハイテクカプセル
皆さん、「排除建築」って知っている?英語で「Hostile Architecture」だ。グラフィティやスケートボードなどのヴァンダリズムを防ぐことを目的とした都市デザインとして正式に誕生した。「排除建築」の最も一般的な例は、人が座ったり横になったりするのを防ぐことを目的としたものだ。このようにして、いわゆる「アンチホームレススパイク(写真下)」が作られ、様々な議論を呼んでいる。

「排除建築」が、ホームレスの生活を困難にする都市デザインだとすれば、ハイテックカプセルはその逆と言えるだろう。ホームレスの方がシェルターを利用できない理由は様々だが、寒い中で寝ること(冬場は凍死する危険性)を防ぐために、このカプセルが作られた。まるで「巣」のように、必要なものがすべて揃っている。清潔で、ソーラーパネルを備えたこの施設は、ホームレスのための一時的なシェルターに革命をもたらした。このカプセルは通常、公共の公園に設置され、一連のモーションセンサーが装備されており、次のゲストのために使用した後、ボランティアがカプセルの清潔さと良好な機能をチェックすることができる。カプセルは「重要な最終手段」だ。イタリアにもハイテクカプセルがあれば、路上生活者の生活を変えるきっかけになると思う。

ホーボーの暮らし向き
皆さん、ホーボーを聞いたことある?一言で言えば、「ホーボー」とは、自らの意思で貧困生活を選択している人たちのことを指す。ホームレスのサブカルチャーの一員である。ホーボーは、アメリカで19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代、働きながら方々を渡り歩いた渡り鳥労働者のこと。でも、長年にわたり、この現実は世界の多くの国で発展してきた。ホーボー文化の再評価を認め、貢献してきた詩人や冒険家によれば、ホーボーの倫理は「労働を拒まず、奴隷を拒む」自由の倫理であり、同時に暴力や窃盗を非難するものである。しかし、ホーボー文化は、特にその第2期においては、必要に迫られてではなく、リバタリアン的な衝動、主流文化への不満、反抗的な精神によって、落ち着きのない若者たちの間で多くの実践者を生み出した。今日、ホーボー文化、特にホーボー精神の痕跡は、主にバックパッカー、インターレイル、カウチサーフィン、モーターサイクリスト、レイブカルチャー、そして今日のホームレスの人々の中に見られる。
皆さん、この現実をどう思いう? この人たちがホーボーになる理由は何だと思う? ファッションの問題だと思う?

城中村
「城中村」は、中国の都市化の過程で出てきた現象である。「城中村」の定義について、「城中村」は農村部の都市化が進んでいて、耕地が無くなった農村住民が都市住民になった後も元の村落に住み続け、形成されたコミュニティーのこと、つまり都市に囲まれた村である。都市化のため都市政府が土地を収用しているが、収用補償と村人の移住に関して莫大な経済的及び社会的費用を支払わなければならない。 この費用を回避するために、都市政府は耕地のみを収用するが、村の収用を避けることを選択した(魏立华、阎小培、2005)。北京工業大学社会学部の李君甫教授は、道路、水道、電力、ガス、環境衛生、治安などの都市公共サービスは、主に都市政府が整備していないため、城中村をカバーできないと述べた。これらの問題について、城中村の自治体によってのみ解決することができる。 しかし、城中村の自治体によって構築されたインフラストラクチャの低水準、低維持、及び公共サービスの極端な欠如は、城中村の低いイメージ現象を引き起こす。

ホームレスを助けて、私は何ができるか。
さて、私たちにホームレスの生活をもっと耐(た)えやすくすることができるか。
もちろん、路上(ろじょう)乞食(こじき)に直接に小銭(こぜに)をあげるに限らない。中古服をはじめ、もっと生活に便利なものを寄付し始めましょう。特に、日本のNPO「Tenohasi」(手の橋)その中で靴下(くつした)はホームレスに非常に必要なものである。
そして、ボランティア活動に参加することもできる。重たい任務とはいえ、リーフレット配布(はいふ)などのような活動で、自分の辺りにある慈善団体を支援することもできる。

単語リスト
実施するTo Implement
目視 Vision
考察する To consider
圧倒的に Overwhelmingly
特徴 Characteristics
生活困窮者 The poor, Those who are impoverished
保護 Protection
保障する To guarantee
生活保護制度 Welfare system
権利 Rights
申請 Application
困窮者 People in need
生活保護 Public assistance
起居する To leave one’s house
厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
少数派 Minority
暴行 Assault
路上生活 Living on the street
月経時 Menstrual period
衛生状態 Sanitary conditions
感染症 Infectious disease
略奪 Plunder
貧困生活 Living in poverty
渡り鳥労働者 Migratory worker
発展するTo develop
再評価 Revaluation
貢献するTo contribute
冒険家 Adventurer
倫理 Ethics
奴隷 Slavery
暴力 Violence
窃盗 Theft
反抗的な Rebellious
実践者 Practitioner
痕跡 Traces
農村部 Farming area
耕地 Arable land
収用補償 Expropriation compensation
低水準Low level
低維持 Low maintenance
欠如 Lack
耐えやすくする make more bearable
靴下 socks
リーフレット配布 handing leaflets
参考文献
https://www.therighttoshower.com/make-difference/7-practical-ways-you-can-help-the-homeless
https://tenohasi.org/homeless/support/
https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000505478.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/54681.html
http://clarendonhillshistory.org/clarendon-hills-history/hobos/
http://clarendonhillshistory.org/clarendon-hills-history/hobos/
https://ja.futuroprossimo.it/2021/01/capsule-hi-tech-per-homeless-in-germania-testano-la-ulmer-nest/
7 11月 2021 at 21:43
Ciao アンドレア!
今回私のBucolicoなコメント、アンドレアにあげます!笑
こんなに面白い記事を書いてくれて、ありがとう!どして特にこの話題について気になりましたか?
このブログのおかげで、多くの新しい発見がありました。特に、「排除建築」について読んでは驚きました。全然知らなかったです!イタリアにも日本にもあるのですか?
一般的なコメントしたいです。自らの意思で貧困生活ひんこんせいかつを選択している人について、「このひとは頭のおかしい」「危ない薬物中毒者」という固定観念があると思います。私の意見では、ホームレスになる理由はいろいろあると思いますので、先験的に判断しない方がいいと思います。現在の社会では、価値観の危機を経験する人もいると思います。ある人にとってはこのようなライフスタイルが普通ではないけれども、「普通の生活」とは何でしょうか?
8 11月 2021 at 14:37
この記事はとても興味深いなので、ありがとうございました。
「排除建築」については、あまり語られることのない話題なので、取り上げていただけていいことです。私にとって、「ホームレスは自分の意思でホームレスになった」という考え方が主流だと感じていますが、ホームレスになる要因は様々なので、他人の事態をを判断するではないと思っています。
9 11月 2021 at 16:49
アンドレアさん、この記事の面白さは様々な視点から大きい社会的な問題を詳しく考察することだと思います。
ホームレスの女性の問題を読んだら、今まで考えていなかったことも分かりました。特に、女性はDVのせいでホームレスになれることがびっくりしました。それに、「排除建築」と言うと、何年間前のトレヴィーゾでの公園のベンチの話を思い出しました。その時にホームレスが使わないように公園のベンチは一つの席だけに分けられてしまいました。路上生活はとても危ないと思うので、怖いです。しかし、たくさんの人達は色々な理由で路上で生活してしまって、社会は彼らを手伝うようにするはずです。
10 11月 2021 at 11:05
アンドレアさん、この記事を書いてくれて本当にありがとうございました!ホームレスの問題は本当に大きい問題ですね。ヴェネツィアにはあまり見えないんですが、私の出身にはホームレスの人はたくさんいます。私にとっては、一番悲しくて厳しいことは排除建築です。そのホームレスの人たちは普通自分でそんな風に生きることは決めませんでしたのに、そのような建築があるので、ホームレスとして生活するのは本当に大変になると思います。
この問題に話してくれて本当にありがとうございます。では、またの記事へ
12 11月 2021 at 10:41
アンドレアさん、この記事を書いてくれてありがとうございます。とても興味深く、ホームレスの人たちの状況についてもっと知ることができました。私も、ホームレスの人たちのために、私たちができることはたくさんあると思うが、そうするためにこのテーマに対する人々の意識を高めることが必要です。
これだけでは十分ではないと思いますが、私の住んでいる街では、クリスマスの朝にホームレスの人たちにパネトーネとホットチョコレートを届けるという取り組みがあります。
素敵な取り組みだと思ったので、紹介したいと思います。
12 11月 2021 at 23:28
アンドレアさん、こんなに面白い記事を書いてくれてありがとう。 実は、最近、柳美里の「JR上野駅公園口」という本を読んだので、ホームレスの問題を知っていました。数ヶ月前に所載されたイタリア語訳「Tokyo. Stazione Ueno」で見つけることができます。 この本の中で柳美里は、上野公園のホームレスの状態で、日本の富と矛盾を非難している。 でも、アンドレアさんの記事で説明されている用語があまり知らなかったので、説明してくれてありがとうございます。
13 11月 2021 at 16:55
興味深いポストを書いてくれてありがとうございます!
記事に中にはいろいろな知らなかったことがありました。
まず、ハイテクカプセルは、その存在を知らなかったので、とても面白かったです。ホームレスの問題に対する非常に知的な対応だと思います。
また、ホーボー文化も知りませんでした。それは、人々、特に若い人たちが日常生活の中で感じる強い社会的なプレッシャーへの対応だと思います。そのプレッシャーに耐えられないので、自由に生きるための方法をホーボーに見出したのかもしれません。
14 11月 2021 at 0:08
ホームレスの数の多さには驚きませんでした。特に最近では、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になっている。
もちろん、そういう理由でやっている人もいますが、私たちが生きている資本主義の世界を否定する意味で始まったのだと思います。今は、生きるために働くのではなく、働くために生きる人が多くなっています。イタリアでは、第二次世界大戦中に国が定めた労働時間が今でも有効です。戦後、労働時間が減らないのは、より多くのことをやり、生産することを目的としているからだ。
ヴァガボンドは、仕事が生活のためだけで、人生の唯一の目的ではなかった時代に戻りたいのだと思います。素晴らしい記事ですね。とても楽しかったです。
15 11月 2021 at 13:46
Andreaさん、この記事をありがとう。
カプセルのアイデアはとても気に入っていますが、イタリアではもう存在しないのが残念です。残念ながらその一方で、排除型の建築はもっと存在感があり、私はそれを見ると本当に嫌になります。
15 11月 2021 at 17:28
記事を書いていただき、ありがとうございました。
とても興味深く、感動的な内容でした。
私はホームレスの問題にとても関心があります。ヴェネツィアではいつも多くのホームレスを街で見かけます。
通りすがりの人からの寄付ではどうにもならない、一番の支援は政府が行うべきだと思う。
お金があればいいというわけではなく、その名にふさわしい生活を送るための機会が必要なのです。
個人的には、今のところ具体的に何かできるとは思っていませんが、このような立場の人を見るたびに、無理やりにでも思いを捧げています。
いつかもっと機会があったら、この人のために何かしてあげよう」と思いました。
17 11月 2021 at 14:56
興味深い記事ありがとうございました。詳しく調べた上で書いた記事だと感じました。今週私たちのグループの会議でホームレスについて話し合ったので、この記事を読むことで、よりホームレスについて理解できるようになりました。確かに東京のホームレスの数は特に多かったことに気づきました。このような地域差が出るのはやはり東京は都会であり、就職率が高い一方失業率も高いことが原因の一つと考えました。「アンチホームレススパイク」というものがあったのもはじめてしり、とても悲しいことでもあると思いました。一方、カプセルのような居場所はとても重要だと感じました。
20 11月 2021 at 14:57
こんにちは。記事を読ませていただきました。日本では女性のホームレスは少ないのですね。わたしは知らなかったので、おどろきました。
排除建築により、ホームレスの人の生活する場所は無くなっていることを考えると、景観を第一にしてホームレスの人をそんなに迫害する必要があるのか疑問です。もう少し調べてみたいと思いました。