グループ6「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」のノアです。
今回は地熱発電について紹介します。
地球の熱は、内部で生成されており、内部からのエネルギーはそのまま地表から伝導され、大気圏外に放出されます。地熱や地中熱は、①その流れの一部が熱水として地層内にとじこめられた資源、②温水として噴き出している資源、③地表から直接大気に放出されている資源を利用しています。1つ目は、地熱発電や高温の熱水利用に使用され、2つ目は浴用などの中低温の熱水利用に利用され、3つ目は建物の冷暖房などヒートポンプを用いた資源利用をしています。
地熱発電
地熱発電には、主に熱水として地層内にとじこめられた資源を利用しています。熱水を取り出して低温部に移すことによりエネルギーを取り出すことができ、その熱エネルギーは、タービンで機械エネルギーに変換され、発電機で電気エネルギーになります。
地熱発電には、大きく二つの方法があります。
フラッシュ方式
地下の熱水の貯留層から約200~350℃の蒸気と熱水を取り出し、蒸気と熱水を分離した後、その蒸気でタービンを回して発電する方式です。

バイナリ方式
一般的に80~150℃の中高温熱水や蒸気を熱源として沸点の低い別の流体を加熱し、蒸発させてタービンを回して発電する方式です。

メリットとデメリット
メリット
CO₂をほとんど出さずにエネルギーを作り出すことができます。また、地下の地熱エネルギーを使うため、化石燃料のように枯渇する心配がなく、長期にわたる供給が期待されます。発電量が昼夜、年間で変動することもなく、安定した発電量を得ることもできます。

デメリット
発電設備を作るための調査や開発にとても時間とコストがかかります。また、発電に適した場所が国立公園や温泉などの施設が点在する地域と重なるため、地元関係者との調整が必要となります。

地熱発電に用いられている熱水や蒸気の温度は高温ですが、熱水利用としては中低温で温泉として浴用に用いられるまで、段階的に熱水を無駄なく有効に利用することができます。たとえば、浴用だけでなく、高い温度を必要とする野菜や木材の乾燥から低い温度での土壌暖房や魚の養殖などさまざまな温度範囲で利用できます。生活で熱を必要とする場面や、農業、漁業、工業などさまざまな分野で熱水を活用することが可能です。しかし、地熱発電所で分離された温水はまだ有効利用されていないため、この熱を少しでも利用することができれば、より有効な熱水の利用が可能となります。
参考
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/geothermal/explanation/development/about/
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/geothermal/index.html
- https://www.sbenergy.jp/study/illust/geothermal/
- 當舎利行 内田洋平『トコトンやさしい地熱発電の本』日刊工業新聞社2012
単語リスト
地熱:Geotermico
地熱発電:Generazione di energia geotermica
熱水:Acqua calda
貯留層:Serbatoio
温泉:Sorgenti termali
13 11月 2021 at 13:12
興味深い記事をありがとうございます
地熱は記事にもあるように安定したエネルギーですから重要な電源になると思います。太陽光や風力の弱点を補うことができるので開発が進むといいですね
15 11月 2021 at 9:27
バイナリ発電という言葉を聞いたことがあります。バイナリ発電の方が温度が低いため、それに耐えうる材料でプロペラを用意できる、という観点からそちらの方が普及しているのでしょうか。どちらがより一般的であるかとかも気になる点ですね。
2 12月 2021 at 15:18
執筆お疲れ様です。発電の種類や利点、欠点を簡潔に分けられて書かれていたので大変読みやすかったです。正直私自身、地熱発電に関しては全くと言っていい程知識がなかったので、勉強になりました。ありがとうございます。この記事を読んで地熱発電は地球に優しく将来性もある最善な方法であると感じたのですが、なぜこんなにも世界の発電方法として主流にならないのでしょうか。もちろん、設備を作るという際に多くの障害が発生するということは記事に書かれていたのですが、それらのせいで今もなおあまり利用されていないのが残念です。国家主体でこの方法をより積極的に採用していく必要があると思いました。