トイレは、みなさんの生活になくてはならないものだと思います。ですが、世界では今も36億人(約3人に1人)が安全に管理されたトイレを使用できません。トイレがなければ、どんな困ったことが起こるのでしょうか。

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 トイレがなければ、排泄物をバケツや袋に溜めて捨てたり、川や池にそのまま流したり、地面や草むらで排泄したり(屋外排泄)しなければいけません。そのような排泄物を処理するとき、手に触れると体内に病原菌や寄生虫が侵入し、下痢や感染症を発症してしまいます。また、トイレの代わりになった池や川の水は汚染されていて、その水が安全に処理されないまま飲料水や手洗いに利用されると、下痢などの原因となります。下痢は特に抵抗力の弱い子どもの間で深刻化していて、1日に1600人の子どもが下痢が原因で命を落としています。ほかにも不安定な状況の国々では5歳未満児の死亡率は暴力による死より、下痢による死のほうが高いという報告もあります。私たちはこのような現状に目を向け、考えていかなければいけません。

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 下痢性疾患や感染症のリスクは石鹸で手を洗うだけでも大幅に減らすことができます。しかしトイレだけでなく、手洗い設備も衛生的に管理されていないのが現状です。新型コロナウイルスのパンデミックにも関わらず、世界の3割が自宅で手洗いができませんでした。安全なトイレの設置と浄化水道の設備、手洗い設備の普及が急がれます。

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 トイレに関する問題は、発展途上国だけではなく先進国にもあり、先進国ではLGBTや障がい者向けのトイレの不足が目立ちます。また最近では、ブラジル大統領が生理用品の無償提供を拒否したことも話題になっています。

 もう過ぎてしまいましたが、10月15日は世界手洗いの日、来月の11月19日は世界トイレの日だそうです。この機会に世界のトイレや手洗いの状況に目を向け、考えてみてはいかがでしょうか。

参考文献

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001759.000005176.html

https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_sanitation.html

トイレのない生活とは? ユニセフ「世界トイレの日プロジェクト」 /日本ユニセフ協会

生理用品の無償提供法案に拒否権 ブラジル大統領に非難の声 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ユニセフ報告書「戦火の中の水」 下痢による死は暴力の20倍 水への攻撃は子どもへの攻撃と訴え (unicef.or.jp)

単語リスト

日本語英語
36億3.6billion
排泄物excrement
屋外排泄open defecation
処理するdispose
病原菌germs
寄生虫parasite
侵入するinvade
下痢diarrhea
感染症infection
発症するdevelop
汚染されているcontaminated
抵抗力resistance
深刻化becoming more serious
五歳未満児children under 5years old
現状current situation
下痢性疾患diarrheal disease
設置するinstall
浄化水道water purification apparatus
設備