グリーンウォッシングという言葉を聞いたことがありますか?

「SDGs」「サステナビリティ」という言葉が以前よりも広く知られるようになった一方で、まだ認知度の低い問題も残っています。そのうちのひとつが、グリーンウォッシュです。

グリーンウォッシュとは、実際には持続可能な社会づくりに貢献していないにもかかわらず、消費者からの支持を得るために、企業が表面上で環境保護に取り組んでいると見せかけるマーケティング戦略のことです。過去には、ファストフード大手のマクドナルドが、環境保護の姿勢を示すことを目的としロゴの背景を赤から緑に変更しましたが、実態が伴っていない事例として問題になりました。2018年には、ネスレが自社のパッケージを2025年までに100%リサイクルまたは再利用可能にするという「野心」を持っていると発表したものの、明確な目標や取り組みを宣言していないことが環境保護団体によって指摘されました。

Illustration by one of our team’s members, Daria Fanara

グリーンウォッシュのさまざまな手法のなかでも、特に消費者が混乱しやすいものには「ブランドイメージの変更」と「根拠のない主張」があります。先ほどのマクドナルドの事例はブランドイメージの変更にあたります。根拠のない主張とは、具体的な指標がない曖昧な環境主張を指し、ネスレの事例は一部が該当しています。

また近年、バイオとエコサステナブルのアイデアがファッションと化粧品の分野で広がり始めています。 しかし、どの企業も本当に持続可能といえるのでしょうか? 

多くの大企業は、持続可能で、有機的倫理的なラインなどを立ち上げていますが、実はこれこそがグリーンウォッシュ、ということがあります。 企業は自社が抱えるその他の問題から注意を逸らすためにグリーンウォッシュを行うことがありますが、このような企業は結局のところ環境へ悪影響を及ぼしてしまっています。 

ファストファッションチェーン大手のH&Mは、オーガニックコットンを使用している「コンシャス」というラインをローンチしました。持続可能な商品として重視されていましたが、リサイクル素材に関する説明が不足しており、環境配慮の基準が不明確として、ノルウェーの消費者庁から非難されました。

これらを回避するためには、特定のイメージに流されないよう、自ら調べ、知識を身につけることが必要です。ロゴが緑色だから、見た目がシンプルだからといって、その商品・企業がサステナブルというわけではありません。責任をもった消費行動を、ぜひ1人ひとりが心がけたいものです。


参考文献

https://earth.org/what-is-greenwashing/

https://www.conserve-energy-future.com/top-greenwashing-examples.php

https://myethicalchoice.com/journal/ethical/green-washing/

https://www.seventietwo.com/ja/business/hmConscious


単語リスト

サステナビリティサステナビリティsustainability
認知度にんちど(public) recognition
持続可能なじぞくかのうなsustainable
貢献こうけんcontribution
環境保護かんきょうほごenvironmental protection
目標もくひょうgoal
指摘されるしてきされるto be pointed out
消費者しょうひしゃconsumer
根拠こんきょevidence, proof
主張しゅちょうclaims
指標しひょうindicator
有機的なゆうきてきなorganic
倫理的なりんりてきなethical
説明せつめいdescription
責任せきにんresponsibility