ヴェネツィア・カフォスカリ大学の日本語の自由会話の授業と「バーチャル留学」のグループ4のミーティングで、学生たちは自分たちか身の回りの人が受けたジェーンダー差別に付いての経験を話し合った。その結果、学生達の多くが差別を何らかの形で経験していることがわかった。
「高校の体育の授業で、男子はサッカーをし、女子はバレーボールをするように決めつけられていた。スポーツに関しては、どの国の社会でも男子向きスポーツと女子向きスポーツがあると一般的に考えられている。それで、男子向きのスポーツをしている女子や、女子向きのスポーツをしている男子は偏見の目で見られる事があり、差別を受けることもある。」
「誰もが安心して生活できるようにするためには、特に思春期には、性教育やジェンダー・ステレオタイプの解消が欠かせないだろう。セクシャルマイノリティーや女性という性別に属する人は、よく嘲笑の対象になる。例えば、ある日、私が高校のクラスに入ると、私がゲイであることを最近知ってきた男性の同級生たちが、机の後ろに隠れて「尻を守れ、ホモが来た」と叫んだ。侮辱されることも多く、学校に行くことが負担になっていた。私は他の人にこのような経験をしてほしくないので、セクシャルマイノリティーなどに対する敬意を教えることは不可欠だと思う。」
「子供のとき、「ゲイ」という言葉は悪口だと思った。だけど、成長して、いろんな経験をして、そんな考え方を外した。なぜ先生に「ゲイ」は悪くないと言われなかったか、わからない。」
「私が高校生のときに、クラスメートは私がレズビアンであることを知って、女のクラスメートが体育のときに私と一緒に着替えるのは「あの人は何かされるかもしれないから」と言い始めたことがある。前日までは普通に扱われていたのに。孤立させるのではなくて、他人の違いを受け入れ、サポートすることが大切だと思う。」
「ジェンダーやセキュシュアルの差別はどの世代にもある事だと私は思った。以前、家族と一緒にあるテレビ番組を見ていた時、たまたま映っていた人が恋愛対象が男の人で付き合っている彼氏がいるという男性がテレビでインタビューを受けていた。その時、一緒に見ていた祖父が突然「チャンネルを変えろ」「こんなもの見るな」と怒り出した。何故かと聞いてみても怒ってばかりで理由すら教えてくれなかった。それまでもゲイの方を見ると「頭がおかしいのではないか」「きっと病気なのだ」等と強く批判していたので、きっとこの時怒った理由も批判の意味を込めたものだったのだろう。女性が恋愛対象の祖父が男の人を好きになれと突然言われた訳ではないのだから強く批判する意味が私にはわからなかった。私は日本では特にこの固定概念は強く根付いていると考える為、幼い頃からこの性別に対する固定概念を根付かせる教えを無くす必要があると私は思う。」
ジェンダーや差別に関するエピソードは、自分たちの身の回りに日常的に起こりうる事がこの経験談からも理解できる。このような問題はなぜ起こり、どう防げるのだろうか。原因は、社会に深く根ざしている習慣や考え方、そして無知にある。例えば、スポーツの種目や仕事、服装、そしてセクシュアリティーに関して「男性はこう、女性はこう」という固定観念から解放されるように社会が動いていく必要がある。それに、多様化するジェンダーの考え方に対して、女性と男性に拘らない性の考え方を広く社会に浸透させていく事が大切ではないだろうか。性別の固定観念をなくして、他人を受け入れることは、子供の頃から誰でも教えられるべきことである。昔に比べて、先進国ではジェンダーに対する考え方もオープンマインドになってきているが、まだまだ差別は存在する。社会が多様性を徐々に受け入れるようになり、他人を傷つけることがないように、配慮して言葉を選んだり、人と接したりする必要がある。私たちは他者と共に支え合って生きていることを忘れてはならない。いずれにしても、ジェンダー差別を少なくするためには、社会の考え方を変えて行く必要がある。特に、学校教育はとても大切だ。これからの若い人たちが多様性を社会に向かって発信して、ジェーンダーや性差別のない世界に変えていける事が期待されている。
単語リスト
- 於ける → おける= in; at; for
- 偏見 → へんけん = prejudice; distorted view
- 思春期 → = ししゅんき = adolescence
- 属する → ぞくする = to belong to
- 嘲笑 → ちょうしょう = derision
- 対象 → たいしょう = target
- 侮辱 → ふじょく = insult
- 敬意 → けいい = respect
- 不可欠 → ふかけつ = indispensable
- 扱う→ あつかう= to treat
- 孤立→ こりつ = isolation
- 恋愛対象 → れんあいたいしょう = object of romantic interest
- 批判する → ひはんする = to criticise
- 固定観念 → こていかんねん = fixed idea; stereotype
- 根付く→ ねづく = to take root
- 経験談 → けいけんだん = story of one’s experiences
- 解放 → かいほう = liberation
- 多様化 → たようか = diversification
- 拘る → こだわる = to be obsessive about
- 浸透 → しんとう = permeation (of thought, ideology, culture, etc.)
- 先進国 → せんしんこく = developed country
- 多様性 → たようせい = diversity
- 徐々に → じょじょに =gradually
- 配慮する → はいりょする = to considerate
参考文献
学生たちの経験なので、使わなかった。
26 10月 2021 at 5:50
ジェンダー問題は解決しようとしても、とても難しい議題だと思いました。書いてくださったブログにもありましたが、学校教育によるジェンダー差別を無くすべきだと私は思います。例えば、持久走をする時に女子と男子で決められた距離が違ったりすることです。性別だけで身体の機能を判断し強制的にやらせるのは良くないことだと思います。
とても興味深い記事でした!
ありがとうございます!
28 10月 2021 at 15:25
Naomiさん、記事を読みながら感動しました。
学生の経験を読んで、自分の経験についても考えさせました。ありがとうございました。
今のイタリアは、ジェンダー差別とか、そしてセクシュアリティーに関しての固定観念は、とてえば北欧に比べる厳しいと思います。昨日、上院で起きたエピソードが代表的にイタリアの状態を表しています。政治家がLGBTの人々を守れる法律を中止さたのことに拍手したなんて…
Naomiさんはイタリアはどうなっていますか? よかったら聞かせてくださいね!
ありがとうございました!
29 10月 2021 at 5:39
面白い内容でした。ありがとうございます。
確かに、子どものころはゲイに関して偏見を持っていたと思います。ただ、国際的に交流したり、ただ単純に自分が年をとると共に、ゲイに関しての偏見というものは無くなってきた気がします。ただ、この感覚は中々中学生、高校生のような若い人々には浸透しにくい気がしますし、難しい限りです。
30 10月 2021 at 13:48
興味深い記事. 残念ながら, 多くの意識向上キャンペーンと多くの進歩にもかかわらず, それについてはまだ多くの偏見があります. 私も, 同性愛者の男の子がわいせつなフレーズでからかわれるシーンをたくさん目撃しました.
一部の人は「冗談のために」からかい, これらのことを言う必要さえないことに気づいていません.
この記事をありがとう.
30 10月 2021 at 19:34
なおみさん、この問題について書いてくれて本当にありがとうございます。私にとっては、本当に大切なトピックなので、この記事を読んでいたら感動しました。ジェーンダー差別とSOGIハラは今でもこんな酷いリアクションがあって、信じられません。もう2021年なのに、ただ数日前にはDDL Zanが反対されたので、こんな状況は今のイタリアで一番強いだと思います。また、これについて書いてくれて本当にありがとうございます
30 10月 2021 at 22:49
とても興味深い記事を書いてくれてありがとうございます。実は、大学生になる前にこのようなトピックについて何も知りませんでした。理由は簡単で、私の州、私の出身でこのような話題は話さない。最近状況は少しずつ良くなったが、子供のときはとても大変でした。差別は子供に定着して、その子供は大人になったら彼らの子供に共有しています。ですから差別は私の州の大問題になりました。
また来週に!
2 11月 2021 at 13:32
なおみさん、そんな経験について書いてくれてありがとうございました!
ポストを読みながら、自分の子供の頃の経験を思い出しました。本当に感動しました。私以外、他の若者が似ている苦労を直面したことを知っているのは心細くないようになりました。確かに現代の社会にLGBTQ+のコミュニティの日常の困難を理解できる人々は必要です。